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ウマ娘とファンキルとサッカーと、ときどき法律の堅いお話。

サッカー談義|アジアカップ敗退(2024)

 サッカー日本代表アジアカップ衝撃の敗退ーー、とはいえ、中東開催でイランに敗戦はそこまで厳しいものでもなく。

 ただ、やはり気になるのはグループリーグから続いた守備の不安定さ…、もちろんシュミットが移籍トラブルで出場機会を失い、中村と大迫が怪我という経緯を経て、代表経験の乏しいGKを起用せざるを得なかったーーという点も要因の1つとしてはあり得るとは思うけれど、それはそれとして、選手層から考えればだいぶ悲惨な守備構築と失点数ーー、よもや全試合で失点というのは、アーセナルの冨安、BMGの板倉を筆頭に、ベルギーリーグで躍動する町田と渡辺、中東所属とはいえ代表実績のある谷口と信頼できるCBをこれだけ揃えてこの結末はあまりにお粗末な守備だった、と結論づけて良かったのではないでしょうか。

 

 また、少し話が戻りますが、GKの人選についても若干の疑念が浮かびます。もちろん、シュミットが移籍トラブルのせいでシントトロイデンで出番を失った、中村航輔と大迫の2人は怪我、と第1〜第3GK全員が不在の緊急事態だったのは事実です。そして、シュミットに代わりシントトロイデン正守護神になっていた鈴木彩艶選手に白羽の矢が立つのは、個人的には正しいことかと思います(実際に、A代表の親善試合でも何度か呼ばれていましたから、当然の流れでしょう)。そして彼が今大会の1stGKになることにも、特に違和感はありません。

 違和感があるのは、残り2人の人選。当たり前ですが、神戸の前川選手と、東京の野澤選手はJリーグでも有数の素晴らしいGKですが、やはり代表戦という意味での経験は乏しい2人です。また、鈴木選手はまだ若い選手なので、大きな大会に出て呑まれてしまうとか、不安定なプレーに終始するとか、その可能性は大いにあり得ました。その時に、代役になるのがこの2人という人選で果たして良かったのでしょうか。

 アジアカップは大きな大会です。絶対に落とすことができないと考えるなら、安定感のある、代表での戦いを知っているGKを1人でも呼んでおく必要性が高かったかと思います。不在だったわけではありません。長らく代表を支えて、アジアカップで勝利に貢献し、未だ浦和レッズに君臨する西川選手や、昨年のワールドカップでも素晴らしい活躍を見せた権田選手(現在は清水エスパルス。J2の選手を呼ばない、という方針から外された可能性はありますが)、あとは、こちらも少し出場機会を失っていましたが、元五輪代表で森保ジャパンを支えた谷選手なども候補であったことでしょう。流石に川島選手はもう難しかったと思いますので、ここには挙げませんが、この辺の人選も正しかったのか検証が必要ではないでしょうか。もちろん、前川選手と野澤選手が適任だったという結論は大いにあり得るところかとは思いますが。

 

 森保監督は守備の安定感には(より実態に近づけて言うならば、守備の安定感“だけ”には、と言いたいところですが、、、)信頼があったので、それすらまともに構築できないのはあまりに想定外でした。とはいえ、負けてしまったのでもはやどうでも良いことですが。

 その守備の不安定さに引っ張られる形で、グループリーグから難しい試合が続いてしまい、イラク戦の敗戦によりグループリーグ2位での通過となり、決勝Tの2回戦がイラン戦となった(1位抜けだったら、ヨルダン→タジキスタン→と、簡単とは言い兼ねますが、いくらかマシな組み合わせでした)ーーということからすると、中東開催でのイラン戦敗退は責めることではないとはいえ、やはり結局のところ、グループリーグでの苦戦、その要因となった守備のもたつきがこの結果の主要因ということになるんじゃないかなぁ…と思います。

 イラク戦に関してみれば、やはりこの5年間で全く通用しないことが分かり切っていた左サイド南野、CF浅野という布陣が、やはり全く機能しなかった、という点に尽きます。何を考えていたのか…、どういう意図でこのスタメンにしたのか理解できる要素がありません…。

 また、イラン戦に関してみれば、CBの板倉と左SBの伊藤が狙い撃ちされていた点。板倉に関しては前半から不安定なプレーに終始し、前半で足を痛めていたそぶりを見せたのと、またイエローをもらっていたこと。そして伊藤をフォローしていた左SHの前田大然を、そして中央でボールを収めていた久保を早々に交代。交代で出てきたのは負傷明けで本調子とは言い難い三笘と、久保の役割は難しい、ストライカー気質の南野というチグハグな交代策でした。久保の役割をこなせる日本人選手がいるとすれば、ラツィオで出場機会を失ってるとはいえ鎌田くらいしかいないので、連れて行くべきでしたね…。対して板倉と伊藤は交代しないどころかフル出場させた、その間、特にそこをフォローするような采配が見られなかったこと(結果として、板倉がPKを与えて敗退、というのは板倉の責任が大きいものではなく、監督の采配ミスの賜物でしょう…)。

 総じて、監督の酷い采配でした。そして一夜明けて、チームの中心を担う守田から監督らに対する意見が出る始末ですから、問題は相当根深い可能性がありますね…。

「どうすれば良かったのかはハッキリ分からない。考えすぎてパンクというか、もっとアドバイスとか、外からこうした方がいいとか、チームとしてこういうことを徹底しようとかが欲しい。チームとしての徹底度が足りなくて試合展開を握られるということがゼロじゃないし、この大会でも少なからずあった。ボランチとして、プレイヤーとして、チームのために考えないといけないし、その思考は止めないけど、そこの決定権が僕にある必要はないのかなと思う。あくまで僕は最後の微調整だけでいいのかなと。担っているものを重荷には感じないけど、もっと欲しい」(https://web.gekisaka.jp/news/japan/detail/?400971-400971-fl

 以前から疑問に思っていたのだけれど、森保監督は割とチームからのボトムアップ型と説明していて、それはそれとして(レアルマドリーアンチェロッティ監督はそのような方針のことが多いですし)悪いものではないですが、少なくともそれが上手くいかない時は試合中に修正するのは監督の仕事なんじゃないかなと思います。特に、試合の後半から流れが相手に言ってしまえば、当たり前ですが、試合中に選手全員で話し合いなどできるはずもなく、そうすると、選手交代やフォーメーションの変更などができる監督が方向性を示すのは必然ーーというか、僕が普段から見ているJリーグの監督なら誰でもそうやってる気がします(もちろん、代表とクラブチームは別物と考える必要もありますが)。

 また、これはかなりの緊急事態でもありますが、伊東選手についての週刊誌記事の件もあります。当たり前ですが、あの記事は刑事告訴がされて、受理されたという程度の記事でしかありません。刑事告訴はそれなりの体裁を整えれば誰でも出せるものですし、また、原則として捜査機関にも受理義務がある以上、実はこの時点では特に何か意味があるものではありません(もちろん、今後に備えて弁護士などを雇う必要はあるでしょうが)。その後、検察による起訴などが行われれば格別、=犯罪者であることを示すものではないのです。特に、我が国ではあくまで犯罪者であると認められるのは、裁判所による判決が出て、それが確定した段階。

(特定の事件に対して、氏名と顔写真付きで逮捕や起訴などが公表・報道されている現状は人権意識からすると極めて危険なことです)

 そして、それが週刊誌に報道されたということは(一般的に言えば伊東選手側から漏れることはないでしょうから)、刑事告訴をした側が週刊誌に情報を持ち込んだということが推認され、この時点では(報道されている性犯罪についての加害の有無は別として)伊東選手は被害者という性質を持ちます。

 このような状況下で、伊東選手の離脱が公表され、また再検討が公表され、また離脱が決定された、という不安定なJFAの対応もあり、明確に異常な事態で試合が行われたーー、少なからず選手に動揺があることは十分に想定できる中で、戦術的なリーダーシップを取らず、いつも通り選手に任せていたとしたならば、これは監督の緊急時のチームリーダーとしての素質は大きく疑われることでしょう…。

 総じて、結果も失点数も最低最悪のアジアカップに終わりました。もちろんアジア全体の底上げということはあり得るでしょうが、それを考慮しても、この結末は物足りないーーというよりただただ残念というほかありません。W杯で大きく底上げされた監督への信頼感を大きく損なうアジアカップ敗退になってしまったなぁ…という感じがいたします。もはやどうしようもないことですが。

 

 

***

 


 これは、書こうか悩んだのですが。最近、日本代表を応援している時に、どうしても感じることなので…。

 日本代表の強さという点では望ましい、喜ばしいことなのですが、今やスタメンはもちろん控え組やターンオーバー組みまで含めて、ほとんど全員が海外組になりました。それも、五大リーグをはじめとした、ヨーロッパの各地でスタメンを掴み、おそらくその選手層で言えば、歴代随一なのではないかと思います。まさかCBすら4人が欧州一部リーグのスタメンで埋まるとは思いませんでした…、恐らくは、一番の弱点とされてきたGKも、そうなっていくでしょう(シュミットや中村、ザイオンなど、もうそうなりつつあります…)。

 そうなると、何となく、だいたいの選手が寝ている間に試合をして、朝のニュースで活躍を知るという距離感になりつつあります…、実際、今でもそれは実感としてあります。

 ーー何となく、代表チームと距離があるように感じてきました。

 強くなった。確かに強くなった。言うまでもなく、強くなった。私が応援しているのはJリーグのとあるチーム。そこで見る選手たちが大半を占めていた時代の代表よりは、強く、強くなった。W杯への出場もコンスタントに続くようになって、その大舞台でドイツやスペインを薙ぎ倒して、GLを突破して見せた。アジアカップでは転んでしまったけれど、ヨーロッパで行われた親善試合でも素晴らしい結果を残しています。恐らく、次のW杯への道も大きな苦難もないでしょう。

 ただ、やはり、遠い。かつての時代より、遠さを感じています。何が恐ろしいかと言えば、そのような状況ーー、代表になるには海外で出番を得ることが一番の近道というのは、決して間違ってない道でしょう。間違っていないし、代表の強化という点では正しい道です。そして、海外に行き、活躍する、そんな選手の夢も心から理解しています。

 もはやJリーグは腰掛けで、ほんの数年、活躍しただけで海外に行く選手が続出しています。それは悪いことではない。サッカー選手の価値がインフレして、特に若い選手が重宝されるこの時代において、誰が悪いということもないのでしょう。ないのですが。それでも代表を応援しているし、応援すべきだし、応援していきたいと思っていなす。

日本サッカーの強化と発展 日本のサッカーを活性化し、オリンピック、 ワールドカップに常時出場できるレベルにま で実力を高め、日本におけるサッカーのステ イタスを向上させる。Jリーグとは | 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

 上の記述はJリーグの公式HPに記載のある、Jリーグの設立趣旨です。もはや、ワールドカップへの常時出場できるレベルにまで実力は高まったと言えるでしょう。今や明確に、そのために海外組を輩出しまくる名門リーグかもしれません。シントトロイデンという半ば若手日本人選手にとっての足がかりのような海外クラブすら現れてきました。

 その中で、W杯での活躍、そしてアジア杯の凋落ーーよりによってテレビ中継がある試合で2連敗して敗退した形になりました。

 そろそろ、Jリーグを含めて、日本のサッカーというものの方向性を見つめ直し、再定義する、そういうタイミングなのではないか、と感じます。W杯が1番なのか。オリンピックやアジアカップはどうなのか。ACLはどうか。天皇杯ルヴァンカップはどうなのか。移籍金はどうするか。選手の海外流出をどう考えるか。指導者層が海外に行く必要はないのか。ザック期以降にぐんぐん増えた海外組が海外でコーチを務める必要があるのではないか。

 

 間もなく、JFAの田嶋会長が退任し、宮本さんが新会長となるようです。田嶋会長の成果は、賛否はあれど、西野ジャパンと森保ジャパンで初の2大会連続のW杯GL突破、またタイミング的に東京五輪に被ったのもあり、選手層も実力も大きく上がったのは事実。DaznのおかげでJリーグも競争力が高く、そしてサポーターとの距離も近づいたーー、満点ではないとしても、大きい成果があったと結論づけても良いのではないでしょうか。

 ここからは新しい風が入り、今後どうなっていくのか、楽しみですね…。